慰謝料請求したい場合
1 はじめに
離婚をする際には、別れる夫婦の間で金銭のやりとりがあることも多くあります。
やりとりされる金銭には色々あるのですが、
そのひとつとして「慰謝料」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。
今回は、離婚の際の慰謝料について説明しますので、ぜひ、基本的な知識を備えておきましょう。
2 慰謝料とは
慰謝料とは、精神的苦痛を慰謝するために、精神的苦痛を与えた者から、精神的苦痛を与えられた者に支払われる金銭のことをいいます。
慰謝料を請求できる根拠は、民法710条が、「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるを問わず、
前条の規定により損害賠償の責を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」と規定し、「財産以外の損害」すなわち精神的苦痛についても損害賠償請求できることを認めているからです。
3 離婚の際の慰謝料
離婚するからといって、慰謝料が必ず請求できるものではありません。
離婚の際の慰謝料とは,離婚に至った原因について責任がある者に対して、精神的苦痛を被ったもう一方の被る精神的苦痛に対して支払われるお金のことです。
単に、「性格の不一致」など,どちらかが一方的に悪いわけではない離婚原因の場合は,慰謝料の請求はできません。
たとえば、不貞行為(不倫)、暴力,悪意の遺棄等があった場合にそれらの行為があり、
それらの行為により、あるいはそれらの行為のせいで離婚をせざるを得なかった精神的苦痛に対しての慰謝料を請求することができます。
4 慰謝料の相場
(1)不貞行為
裁判では,慰謝料の金額は
①不貞行為の内容・期間
②婚姻期間の長短
③未成年の子の有無
④相手方の資力・収入
⑤不貞の結果子をもうけたか
⑥不貞の結果、夫婦が離婚にいたったか等,
さまざまな事情を総合的に考慮して決定されます。
一般的には、不貞の結果夫婦が離婚に至ったか否かが、慰謝料決定のうえで重大な要素とされることが多いです。
慰謝料の金額が裁判によって判断された場合の相場は,100万円~300万円程度であることが多いですが、これも個別具体的な事情によります。
(2)暴力
暴力と言っても、大けがをするような暴力から、小さい怪我、また精神的な暴力とその態様は様々です。
よって慰謝料も一概にはいえませんが、裁判になった場合に、10万円程度~200万円程度を考えることができます。
暴力については、①暴力の期間②暴力の態様③暴力の結果などが考慮されることになります。
5 慰謝料がもらえない場合
(1)不貞行為について不法行為の要件を満たさない場合
不貞行為では、そもそも、婚姻生活が破綻していた場合には、慰謝料をもらうことはできません。
このような場合は、不貞行為によって、婚姻生活が破綻したわけではないからです。
また、配偶者が、不倫相手に「自分は独身である」と嘘をついて交際をし、
それを不倫相手が信じたことについて不倫相手に落ち度がない場合にも、不倫相手に故意や過失がないので慰謝料をもらうことができません。
(2)証拠がない場合
相手が認めない限り、なんの証拠もなく、「暴力があった」「浮気された」と主張しても、裁判所はそのような行為があったことを認めてはくれません。
離婚の原因である不貞行為や暴力があったことを、証拠を出して証明しないといけないのは、慰謝料を請求する側なのです。
6 まとめ
離婚の際の慰謝料について、簡単なところは理解いただけたでしょうか?
「このケースでは離婚の際に慰謝料がもらえるの?」「離婚の原因となる行為の証拠って、どんなものを集めればいいの?」などの疑問がわいてきた方もいるでしょう。
本文中にも述べましたが、裁判となった場合、慰謝料の額は個別具体的に判断します。
分からないことがあれば、弁護士が相談に乗り、そのケースについてのアドバイスをします。


温和な風貌からは想像できない情熱的な事件処理と、40年を超える弁護士実績で、生涯現役を貫く。弁護士業の傍ら、追手門学院大学理事長、学校法人追手門学院大学の学長も兼ねる。


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