DVによる離婚は難しいのか?
ドメスティック・バイオレンス(DV)を理由とする離婚は難しいということがよく言われています。
なぜ、DVによる離婚は難しいのでしょうか?
まず、DVとは、「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」のことです。
夫婦の場合、夫が加害者、妻が被害者というケースが多いです。
DVの暴力の形態としては、大きく三つに分類されます。
- 1、殴る、蹴るといった身体的な暴力。
- 2、心無い言動等による精神的な暴力。これには、生活費を渡さない。仕事を制限するといった経済的な暴力も含みます。
- 3、嫌がっているのに性的行為を強要するといった性的な暴力。
こうしたDVの多くは家庭内で行われるため、被害者が第三者に相談しない限り、被害が発覚しにくいものです。
また、被害者を受けた側が、「自分に非がある」と思い込んでしまい、被害者だという認識を持っていない場合は、事態が一層深刻化してしまいます。
仮に、被害者が、DVの被害を受けていると認識したとしても、DVがなされたことの証拠が残りにくいという問題もあります。
離婚の方法としては、協議離婚、調停や審判による離婚、裁判離婚の三つがあります。
まず、協議離婚は、夫婦が話し合って、離婚すると決めることです。
夫婦間でDVが行われている場合、被害者が離婚を切り出しても、加害者側が話し合いに応じないばかりか、逆上して、より深刻な加害行為に及ぶというリスクがあります。
そのため、DVの被害者が協議離婚を切り出すことは難しいのが実情です。
協議離婚が難しい場合は、調停や審判による離婚を探ることになります。
家庭裁判所が間に入り、夫婦双方が離婚に合意すれば、離婚を成立させることができます。
ただ、あくまでも、夫婦双方が合意することが前提のため、DVの加害者側が応じなければ、やはり、離婚は難しいということになります。
最後の手段として、裁判離婚という方法があります。
これは、法廷において、民法上の離婚原因(法定離婚事由)に該当していることを主張立証して、裁判所に離婚を認めるという判決を下してもらう方法です。
DVを理由とする離婚の場合は、一般的には、民法770条1項五号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当していると主張することになります。
この際は、被害者側が、DVが行われていること、これにより、婚姻を継続し難い状況にあることを主張立証しなければなりません。
そのためには、どれだけの証拠を集めておけるかがカギとなるわけですが、前述したとおり、DVの証拠が残りにくいため、DVによる裁判離婚も難易度が高いのが実情です。
相談
暴力の内容は、ビンタするとか、柔道技で投げる、押さえつけるといったようなことです。
暴力によって、医者にかかるようなケガを負わされたことはありません。
夫は、柔道の有段者で、どの程度の暴力なら大ケガをしないのか心得ているのです。
医者にかからない程度の暴行を加えてきて、暴力など振るっていないと言い逃れする気なのは明らかです。
暴行されているときに、録音、録画を試みたこともありますが、夫にバレて、データをすべて消去されてしまいました。
今は、パートなので離婚したら、生活がきつくなるのはわかっていますが、もう、覚悟を決めています。
離婚するにはどうしたらいいでしょうか?
回答
大きなケガをしていないとはいえ、DVであることに変わりはありません。
DVによる離婚で、カギとなるのが、被害者側がDVを受けていることの証拠を集めておくことです。
しかし、ご相談者様の場合、大きなケガを負っているわけではなく、診断書といった客観的な証拠がないため、DV被害を立証することがかなり難しいということになりそうです。
このような場合は、DV以外の理由による離婚を目指すことも考えられます。
いずれにしても、ご相談者様がおひとりで、対処することは大変困難かと思われます。
まずは、加害者である夫と距離を置いてください。
大阪にも、大阪府女性相談センター、大阪府内配偶者暴力相談支援センターといったDV相談窓口があります。
夫と別居した場合、生活費が心配かと思いますが、別居していても婚姻関係が続いている場合は、夫に対して、婚姻費用の請求を行うことができます。
ご相談者様が、身の安全を確保したうえで、離婚に向けて行動しましょう。
弁護士にお任せいただければ、夫との離婚協議、離婚調停中に、ご相談者が夫と単独で接触すると言った危険な状況を回避することができます。
相談
診断書もあります。
知り合いからも明らかにDVだから、離婚したほうがいいという助言を受けました。
でも、私が夫から暴行を受けたのは、私が浮気していたことが原因です。
浮気を知った夫がキレて私に殴りかかったのです。
それ以来、夫とはロクに言葉を交わしておらず、夫も私以外の女と浮気しているようです。
もう修復は難しく、離婚しかないと思っています。
DVによる離婚というのは可能でしょうか?
回答
どのような理由であれ、DVであることに変わりはなく、刑法上、傷害罪に該当している可能性もあります。
現在は、夫とはロクに言葉を交わしていないとのことですが、もしも、身の危険を感じておられるなら、加害者である夫と距離を置いてください。
そのうえで、DVによる離婚が可能かどうかということですが、ご相談者様の場合、ネックとなるのが、ご相談者様が浮気していたということです。
ご相談者様が有責配偶者となってしまうため、ご相談者様から離婚を請求することは、原則として難しいということになります。
ただ、有責配偶者からの離婚請求が全く認められないわけではありません。
また、ご相談者様の場合、夫との仲も冷え込んでいるわけですから、協議離婚という形で決着することもできるかもしれません。
いずれにしても、有利に離婚を進めるためには、弁護士のアドバイスを受けてください。
大阪でのDV離婚に関するご相談は川原総合法律事務所にご相談ください
DVを理由とする離婚は、DVの被害者なのか、加害者なのか、DVの原因、お子様の有無など、抱えている事情により、解決方法はひとりひとり異なります。
離婚問題は、一生において何度も経験することではありませんから、ご自身の経験が蓄積されて対応力が上がるものでもありません。
DV離婚をめぐる複雑な問題を個人で解決しようと試みると、かえって不幸な結果になりかねません。
大阪の川原総合法律事務所の弁護士には、多くの離婚問題を取り扱った経験と、裁判実務の知識と実績があります。
最善の解決策を探るためにも、DV離婚の問題は、大阪の川原総合法律事務所へお問い合わせください。