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養育費とは何か?

未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合、気になるのが養育費ではないでしょうか。
実は養育費は、途中で支払いが滞るなどして80%が不払いになると言われています。
これから離婚を考えている方のために、そもそも養育費はどうやって決めるのか、年収に応じた養育費の相場や平均はどのくらいなのか等、養育費について解説したいと思います。
 

養育費とは何か?

養育費とは、離婚した夫婦に未成年の子どもがいる場合に、その子どもが成人するまでの生活費のことです。
 
日本の法律では、親は子どもを扶養しなければならないとされています。
未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合は、親権者を決めなければいけませんが、親権者でない親も子供を扶養する義務は免れません。
そこで、親権者として子どもを監護養育する義務を負っている親は、親権者ではない親に対して、子どもを監護して育てる費用を一緒に負担するように請求できることになります。これが「養育費」です。
 
そして、養育費を請求する権利は、親権者だけではなく子どもも持っています。
親が養育費をしない場合は、子どもが自ら親に養育費を請求できる場合もあります。
 

平均的な養育費はいくら?年収別の養育費の相場とは

養育費は、夫婦が話し合って、自由に決めることができるのが原則です。
話し合いがまとまらない場合には、調停員を交えた「離婚調停」で話し合いを進め、それでも決まらなければ「離婚審判」や「離婚裁判」で争って金額を決めていきます。
 

(1)養育費の相場の決め方―養育費算定表の使い方とは

養育費の金額は自由に決められるとはいえ、実際は年収に応じた相場があり、夫婦の収入や経済状況、子どもの人数や年齢を考慮して決定します。
 
しかし、夫婦の個別の事情を考慮するには膨大な資料が必要になるので、子どもの利益を考慮して作られた「養育費算定表」という資料を参考に、次の3段階で算出します。
こちらは裁判所が出している養育費算定表(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf)ですので、参考にしてみてください。
 

①養育費算定表の選択

養育費算定表は、子どもの人数(1~3人)、年齢(0歳~14歳、15歳~19歳)ごとに、表10~19の9種類があります。
まずは、子どもの人数と年齢から表を選びます。
なお、20歳以上の成人した子供の場合は、養育費は発生しません。
 

②夫婦の年収の確認

養育費算定表は、縦軸に「養育費の支払義務親の年収」が横軸に「養育費の請求権親の年収」が書かれています。
会社員など給与所得者の方は源泉徴収票、自営業の方は確定申告書を基準にして正確な金額を確認してください。
 

③養育費金額の確認

上記で確認した、縦軸の支払義務親の年収額から右に水平線を、横軸の請求権親の年収額から上に垂直線をひき、2本の線がクロスするところに書かれている金額が、毎月払う養育費の相場です。
この金額には「4~6万円」「6~8万円」「8~10万円」と2万円の幅がありますが、これは年収をベースに算出した養育費を、さらに家庭の状況に応じて調整できるようにするためです。
 

(2)年収別・養育費の相場の具体例

上記のように養育費算定表で計算すると、具体例として次のような養育費が算出できます。
養育費の相場の参考にしてみてください。
 

①例1

「12歳と9歳の子どもがいる、年収500万円の会社員の夫と、年収100万円のパートの妻が離婚して、妻が親権者になるケースの養育費の相場」
 
表3養育費・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)を参考にします。
縦軸の「給与」欄の夫の年収500万円と、横軸の「給与」の妻の年収100万円がクロスする金額は6~8万円になります。
 

②例2

「5歳の子どもがいる、年収400万円の自営業の夫と、年収300万円の会社員の妻が離婚して、妻が親権者になるケースの養育費の相場」
 
表1養育費・子1人表(子0~14歳)を参考にします。
縦軸の「自営」欄の夫の年収400万円と、横軸の「給与」の妻の年収300万円がクロスする金額は2~4万円になります。
 

(3)養育費算定表以外に考慮される事情とは

上記でご説明したように、養育費算定表を利用すると、年収に応じた相場が計算できますが、夫婦には年収だけでは測れない事情があります。
実際の養育費を決める際には、次のような事情が考慮されることになります。
 

  • 夫名義の住宅ローンの残高がまだ高額に残っている
  • 子どもに障害があり高額な医療費がかかる
  • 子どもが私立の学校に通うことを、養育費支払い義務親が承諾しているなど
  • 妻の母親が闘病中で介護しなければならない
  • 夫婦の一方に持病があり通院をしなければいけない

 
これらの事情は、原則として養育費の幅の2万円の中で調整していくことになりますが、2万円の範囲内だけで調整することが当事者の不公平になる場合には、算定表の幅を超えて、超過した部分を折半して養育費に加算して算定されることがあります。
 

養育費を支払う期間

養育費は、請求した時から子どもが20歳になるまでもらえるのが原則です。
もらっていなかった過去の分を遡って請求することはできませんし、特別な事情がない限り、大学卒業(通常22歳程度)まで請求することもできません。
親権者が、子どもを大学に進学させることを希望し、大学卒業まで養育費を支払ってもらいたいならば、話し合いの際に十分に主張して、養育費支払い義務親の理解を得ておかなければいけません。
 
なお、養育費は、毎月分割で支払うのが原則です。
養育費の80%が不払いになることを考えて、一括払いで支払ってほしいという人もいるかもしれませんが、支払義務親が合意しない限りは強制することができません。
 
また、支払義務親が一括払いに合意したとしても、中間利息の計算や税金の支払いが増えるなど手続きが煩雑になります。
一括払いを希望する場合は、夫婦で合意したとしても弁護士に相談することをおすすめします。
 

養育費は減額できる?再婚など影響する事情とは

別れた配偶者が再婚して、今後の養育費が気になる方もいるのではないでしょうか。
養育費は、子どものためのお金なので、再婚しただけで直ちに養育費を減額したり、払わなくて済むわけではありません。
ここでは「未成年の子供がいる夫婦が離婚して、妻が親権者となり、夫が養育費を払っている」事例をもとに、養育費の減額が可能になるケースについてご紹介します。
 

(1)再婚して養育費の減額が認められるケース

①元妻が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をしたケース

連れ子がいる人が再婚した場合、自動的に再婚相手と子供が親子になるわけではなく、両者が養子縁組をして初めて親子関係が生まれます。
 
再婚相手が子供と養子縁組をして父親となると、母親(元妻)と一緒に子どもの扶養義務を負います。
そのため、新しい父親が子どもを扶養するのに十分な収入がある場合は、養育費の支払義務親の元夫は養育費を支払わなくて済みます。
ただし、新しい父親の収入が少ない場合は、養育費の減額にとどまったり、無職の場合は減額が認められないこともあります。
 

②元夫が再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組したケース

養育費支払い義務親の元夫が、連れ子がいる女性と再婚し、その子どもと養子縁組した場合、元夫には新しく家族になった妻と子の扶養義務が生じます。
この場合、元妻との間の子供への養育費は減額される可能性が高いです。
 
また、再婚した妻に子どもがいなかったり、連れ子がいても養子縁組をしていない場合でも、妻に対する扶養義務は生じるため、妻の収入の状況などから、元妻との間の子供への養育費が減額される可能性はあります。
 

(2)再婚しても養育費の減額が認められないケース

「元妻が再婚し、再婚相手が子供と養子縁組をしないケース」
 
再婚相手が子どもと養子縁組をしなければ、親子関係は生じないので扶養義務もありません。
そのため、元夫は引き続き子どもの扶養義務を負うため、養育費の減額は請求できません。
 

(3)養育費の減額に関するその他のケース

上記では、再婚に関する養育費の減額について解説しましたが、そのほかにも親の収入が養育費の減額に影響することがあります。
例えば、養育費請求親の元妻が、離婚当時は無職だったけれど就職して収入を得たケースや逆に支払い義務親の元夫が職を失い収入がなくなったようなケースでは、養育費の減額が認められやすいです。
 
反対に、当初決めた養育費が相場より高いことを知って後から減額したくなったケースや親権者の元妻が子供と思うように会わせてくれないので代わりに養育費を減額したいケースなどでは、減額は認められにくいと言えます。
 

養育費を必ず回収するために知っておくべき対象法

厚労省の調査によると、養育費の支払いを受けているシングルマザーの56%の人が一度も養育費の支払いを受けたことがなく、途中から未払いになった人も約16%に及び、過去を振り返ると約80%が未払いになると言われています(平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000188168.pdf)。
 
確実に養育費を回収するために、次の対処方法を参考にしてください。
 

(1)養育費を回収する方法

養育費をそもそも支払わなかったり、支払が滞った場合に、次のステップで支払いを促します。
 

①まずは連絡して支払いを促す

相手が養育費を支払わないからと言って、即裁判を起こせるわけではありません。
まずは電話、手紙、メール、SNSなどで、支払を請求します。
このとき「何日までに決められた何円を支払うよう」に伝えましょう。
 

②内容証明郵便で支払いを促す

内容証明郵便とは、郵便局が誰が誰にどのような手紙を送ったかを証明してくれる郵便のことです。
普通の手紙と効力は同じですが、相手に本気度が伝わり、支払うケースは少なくありません。
特に、弁護士に頼んで弁護士名で内容証明郵便を送るとそれだけで支払いの確率は上がることが多いです。
 

③履行勧告・履行命令で支払いを促す

「履行勧告」とは、話し合いで決まった内容を相手が守らない場合に、裁判所が電話や郵便で約束を守るよう勧告してくれる制度です。
履行勧告でも応じなければ、期限を決めて裁判所が命令する「履行命令」を利用できます。
裁判所からの連絡なので、相手が応じる可能性は高まります。
 
ただし、履行勧告・履行命令を利用するためには、「調停調書」や「勝訴判決」が必要です。
養育費の支払いが当事者でまとまらず、調停や裁判をした場合には、無料で履行勧告制度が利用できます。
 

④強制執行で回収する

家庭裁判所の勧告や命令にも応じない相手には、相手の財産を差し押さえて強制的にお金を回収する「強制執行」の手続きを取ることを検討します。
 

(2)強制執行の方法とは

強制執行は、相手からお金を回収するのに最も強力な方法です。
強制執行では、相手の不動産や自動車を差し押さえて換金し、そこから養育費を回収したり、給料の手取り2分の1までを差し押さえることができます(養育費以外の場合は給与の手取り4分の1までしか差し押さえできません)。
 
強制執行をするためには、まず次のような書類(債務名義)があることが必要です。
 

  • 「離婚公正証書」(養育費を含めた離婚について合意した内容を公証役場で公正証書にしたもの)
  • 「調停証書」(裁判所で話し合いをして合意した内容をまとめた書面)
  • 「審判書」(調停がまとまらず審判になった場合の結果の書面)
  • 「和解調書」(裁判の途中で和解をして合意した内容をまとめた書面)
  • 「判決書」(判決の結果の書面)

 
特に、離婚する際の合意書は、相手の支払が滞ったら財産を差し押さえられても構わない、という「強制執行認諾付の公正証書」という形式にしておくとスムーズに強制執行ができます。
養育費だけでなく、慰謝料や財産分与についても話し合いをした場合にはこの形式で証拠化しておくことをおすすめします。
 
これらの債務名義を取得したら、相手が住んでいる地域の地方裁判所に「差押え命令」の申し立てを行います。
申立てをする際は、上記の「債務名義」と、裁判所や公証役場に申請して得られる「執行文」と「送達証明書」、当事者目録や請求権目録などの書類を添付します。
 
裁判所は、申立てを受けると「債権差押命令」を出します。
この命令が、照会書面と合わせて相手の貯金がある銀行などに送られ、その後本人にも送られます。
これにより、銀行や相手の勤務先などと交渉して、給料などから差押分の支払いを受けることが可能になります。
強制執行は裁判所が関与する複雑な手続きなので、利用する場合はまずはお気軽に弁護士にご相談ください。

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