不倫の代償
離婚全般「話したくないです。裁判でもなんでもしてくれたらいいです!」
事案の概要
主婦のAさんから依頼を受けた当事務所が、相手方である女性、Bさんに電話した際の第一声です。
当事務所からBさん宛てに送った内容証明、訴状が不達で戻ってきたので、このような反応は予測の範疇ではありましたが・・・
事案は、Aさんの旦那であるCさんが、同僚のBさんと深い関係になってしまったことが、携帯電話の履歴から明らかになったことでした。
例え、Bさんから誘ったとはいえ、Bさんが所帯持ちであれば、Cさんは、夫婦関係を脅かした存在です。
事情を把握したAさんが当事務所に慰謝料請求を依頼することは流れとして当然です。
ただ、今回の事例において、Bさんは、Cさんに対し、あろうことか婚姻の約束をしているということが判明・・・すべての事実を知ったCさん。
最初の発言も、同情の余地はあります。
どうやって解決するか
ただし、私たちは、法的に解決する必要があります。
喧嘩両成敗も違います。
Aさんからの依頼である以上、Aさんの要望を一番には考えますが、Bさんの気持ちもわからないではない。
結論からいえば、このような問題に唯一の正しい解決などありません。
弁護士がどこまで交渉に介入し、双方を納得させるか、これだけにつきます。
「Bさん、お気持ちはとてもわかります。既婚者と知らずにCさんと深い仲になったBさんを誰が責めることができるでしょう。しかし、一方で、法律を遵守する要請もあります。Bさんの行為が不法行為に該当する以上、無視することはできません。裁判において、訴状を無視して、出頭要請期日に出頭しない場合、欠席裁判として、要求がすべて認められることになります。もしそうなれば、Bさんのおうちに赴き、動産執行を行ったり、場合によっては、Bさんの職場に交渉して、給与の差押えなんかもすることがあります。それよりも、前向きに清算し、人生も前向きに進みませんか?」
粘り強く交渉を行い、Bさんは金額について、合意してくれました。
合意書の作成を行い、訴訟は取下です。
一件落着。
ではありません。
旦那のCさん、反省こそしていましたが、もちろんそれだけではBさんも納得しません。
結局、慰謝料としてBさんはAさんに支払いましたが、BさんはCさんに対し、慰謝料請求を提起し、さらに、職場の退職も求めました。
社内で噂になったCさんは、居場所がなくなり、退職を余儀なくされました。
唯一の解決とはなんでしょうか。
それを考え続けながら交渉する必要があることは当然のこと、誰々の立場に立つ、だけでなく、事件そのものをきちんと解決すること、これが求められているのだなぁと心より考えさせられた案件でした。
不倫の代償。
これは必ずしも小さくはありません。
誰の立場の代理人となったとしても、私たちにできる最大限のことを考え、お力になりたいと考えております。