離婚時の親権問題とは?
親権とは、未成年の子供を監護、教育する、親の権利であり義務のことです。
そのほか、子供の居所を指定したり、子供の財産管理をするなど、子供に対する幅広い権限を行使することになります。
父母が婚姻している間は、子供に対する親権は両親が行使します。
日本では、父母が離婚するときは「その一方を親権者と定めなければならない」とされています。
調停や審判による離婚はもちろん、当事者が話し合って離婚する協議離婚の場合でも、片親のみが親権者となります。
海外では、離婚後も共同親権を認める国が多く、EUなどでは日本に対して離婚後の共同親権を認めるよう勧告する決議がなされるといった動きもあります。
これを受けて政府も議論を進めていますが、現状では、日本では、離婚後は単独親権となります。
単独親権制度となっているために、未成年の子供がいる夫婦が離婚する場合は、親権をめぐって、ひと悶着が起きやすくなっています。
相談
小さい子供を引き取れるように、子供部屋を確保できる住居を整えましたし、学校や幼稚園も通いやすい場所にあることを確認しました。
それでも、離婚した場合は、子供の親権は妻に取られてしまうのでしょうか?
回答
子供を引き取りたいというご相談者様の熱意。
よくわかります。
まず、ご相談者様と奥様が話し合いによって、協議離婚する場合は、どちらが親権者になってもかまいません。
母親の方が有利というわけではありません。
しかし、奥様が子供の親権を渡すことに合意しない場合は、調停や審判による離婚ということになりますが、この場合、裁判所は、母性優先の原則という考え方を取るため、どうしても母親の方が有利になってしまいます。
司法統計の結果を見ても、約9割の事例で、母親が親権を獲得しています。
しかし、父親が全く、親権を取れないというわけではありません。
- ・父親の方が、子供の養育に深く積極的に関わっている。
- ・子供が母親より父親の方になついている。
- ・子供の養育のための経済力が父親の方がある。
- ・父親の両親や親戚などが同居していて、子供の養育に関わることができる。
- ・現状、子供が父親と暮らしている。
こうした事例であれば、父親が親権を獲得できる可能性もあります。
そのためには、離婚する前に早い段階から、子供の養育に関わるとともに、子供を引き取れる環境を整える。
実際に引き取るといった行動を起こしておくことが肝要です。
ただ、子供を引き取る場合は、母親から子供を連れ去ったと主張されてしまうリスクもありますから、慎重に行う必要があります。
ご相談者様が子供の親権を獲得するためにも、早い段階から、弁護士のアドバイスを受けてください。
相談
でも、正社員ではなく、パートなので収入も安定せず、育児もワンオペ状態です。
一方、夫は、正社員で経済力もあり、両親も同居していて子供の育児にも関われる。
だから、子供を寄越せと言っています。
こんな私では、離婚後、子供の親権を獲得できないのでしょうか?
回答
大変な苦労をされていると思います。
まず、ご相談者様が旦那様と話し合って協議離婚する場合は、どちらが親権者になってもかまいません。
ただ、ご相談者様の場合は、旦那様が親権を渡すことに同意しないと思われますから、調停や審判による離婚になるかと思います。
この場合、一般的には、裁判所は、母性優先の原則により母親であるご相談者様を親権者として指定しやすい傾向があると言えます。
裁判所は、もちろん、どちらの方が経済力があるかという点も加味して判断しますが、経済力の差はそれほど優先順序は高くありません。
離婚の際は子供の養育費についても定めますし、ご相談者様の事例では、旦那様が一定額の養育費を負担することになるからです。
ご相談者様がなすべきこととしては、
- ・子供の養育に深く積極的に関わり続けること。
- ・子供と同居している現状を維持すること。
- ・子供との関係を良好にしておくこと。
- ・子育てができる環境を整えること。
などをあげることができます。
もっとも、これは一般的な話で、ご相談者様の置かれている状況などにより異なります。
ご相談者様が子供の親権を獲得するためにも、早い段階から、弁護士のアドバイスを受けてください。
相談
小さい子供の親権をどちらが取るかで大いに揉めましたが、結局、元妻が親権者になりました。
ただ、元妻は、専業主婦だったために、大阪にある私名義の家から出ていくにあたり、安定した仕事が見つかるまでは、という条件で、子供を私に預けました。
そのため、子供も同じ小学校に通い続けることができています。
私の両親も近所に住んでおり、子供の養育にも関わることができます。
このような状況ならば、親権者を私に変更することができますよね?
回答
親権者の変更は、ご相談者様と元奥様との話し合いで、決めることはできず、必ず、家庭裁判所の調停や審判により行わなければならないことになっています。
民法には、親権者の変更は、「子の利益のため必要があると認める」ときに限ると規定されており、かなり、難しいのが実情です。
ただ、ご相談者様の場合、実質的に、ご相談者様が親権を担っているともいえる状況ですから、親権者をご相談者様に変更できる可能性があります。
そのためには、家庭裁判所調査官による調査の際に、親権者を変更することが子の利益のため必要だと印象付けなければなりません。
ご相談者様が子供の親権を獲得するためにも、早い段階から、弁護士のアドバイスを受けてください。
大阪での親権問題に関するご相談は川原総合法律事務所にご相談ください
離婚時の親権問題は、離婚の原因、お子様の状況など、抱えている事情により、解決方法はひとりひとり異なります。
親権問題は、一生において何度も経験することではありませんから、ご自身の経験が蓄積されて対応力が上がるものでもありません。
親権をめぐる複雑な問題を個人で解決しようと試みると、かえってお子様にとって不幸な結果になりかねません。
大阪の川原総合法律事務所の弁護士には、多くの離婚問題を取り扱った経験と、裁判実務の知識と実績があります。
お子様にとって最善の解決策を探るためにも、親権問題は、大阪の川原総合法律事務所へお問い合わせください。