一方的に離婚できる5つの離婚原因(法定離婚事由)とは何か?
離婚は、民法763条に「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」とあるとおり、夫婦が話し合いによって決めるのが原則とされています。
つまり、夫婦の一方が、離婚の決意を固めても、もう一方にその気がなければ、原則として離婚は難しくなります。
そこで、裁判所において、調停や審判を行う。
あるいは、裁判離婚により、離婚する道を探ることになるわけです。
ただ、一定の場合は、夫婦の一方が、離婚の決意を固めただけで離婚できることがあります。
次の5つの離婚原因(法定離婚事由)のいずれかに該当する場合です。
- 1、配偶者に不貞な行為があったとき。
- 2、配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 3、配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 4、配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- 5、その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
この5つの離婚原因(法定離婚事由)は、裁判離婚、離婚の訴えを提起するための要件でもあります。
不貞な行為というのは、不倫や浮気のことです。
配偶者が不倫や浮気をしていることの確定的な証拠をつかむことができれば、離婚をすることができます。
悪意の遺棄というのは、民法752条にいう「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」という義務を意図的に怠ることです。
配偶者が同居を拒否している。
収入があるのに生活費を渡さない。
といったような場合は、離婚をすることができます。
その他婚姻を継続し難い重大な事由については次のような事由が挙げられます。
- ・性格が合わない、性的不調和など
- ・暴力をふるう、ドメスティック・バイオレンス(DV)、モラルハラスメントなど
- ・酒を飲み過ぎる、アルコール中毒など
もちろん、配偶者がこれらの離婚原因に該当していれば、自動的に離婚できるわけではなく、配偶者が離婚を拒否していれば、話し合いや裁判所における調停や審判を経る必要がありますが、離婚原因があれば離婚しやすくなるということです。
もっとも、離婚原因は証拠に基づいて主張する必要があり、一方的に認められるケースはそう多くはありません。
相談
もう夫婦として暮らすことに疲れました。
離婚することができますか?
回答
さぞ、お困りだと思います。
まず、旦那様が生活費を渡さないことは、悪意の遺棄として離婚原因に該当している可能性があります。
また、ご相談者様の収入まで管理していることも、悪意の遺棄に該当している可能性があります。
悪意の遺棄と言えなくても、モラルハラスメントにあたる可能性がありますから、やはり、婚姻を継続し難い重大な事由として離婚原因に該当している可能性があります。
もっとも、これらの離婚原因を主張するためには、証拠を収集し、悪意の遺棄や婚姻を継続し難い重大な事由にあたると主張する必要があります。
ところが、裁判所では、悪意の遺棄がなかなか認められにくいことから、お金のトラブルを原因とする離婚は難しいのが実情です。
夫婦で話し合いをして離婚できる場合ならまだしも、相手が離婚を拒否している場合は、早い段階から弁護士にご相談いただくことが、離婚への近道になります。
相談
夫がオンラインカジノにはまって給料の大半をつぎ込んでいて、ロクに生活費を入れてくれません。
私の少ない収入で何とかやりくりしていますが、疲れました。
離婚することができますか?
回答
さぞ、お困りだと思います。
まず、旦那様が生活費を渡さないことは、悪意の遺棄として離婚原因に該当している可能性があります。
また、そのために、家計が破綻しているという状況であれば、婚姻を継続し難い重大な事由として離婚原因に該当している可能性もあります。
ただ、ギャンブルにお金をつぎ込んでいるだけでは、残念ながら、離婚原因には当たりません。
夫婦で話し合いをして離婚できるならまだしも、そうでなければ、旦那様のギャンブル癖が離婚原因に該当していることを証拠に基づいて、具体的に主張していかなければなりません。
相手が離婚を拒否している場合は、早い段階から弁護士にご相談いただくことが、離婚への近道になります。
相談
しかし、最近、夫との価値観のズレが大きいことが分かり、離婚を考えるようになりました。
性格の不一致と言うのが離婚原因のランキングの上位にあるそうですが、私も、性格の不一致を理由に離婚することはできますか?
回答
それが分かったうえで、婚姻生活を続けることは苦痛だというお気持ちよく分かります。
裁判所が公表している司法統計データでも、性格が合わない、性格の不一致が、離婚を希望する原因として常に上位に上がっています。
性格の不一致と言うのは、価値観のズレが大きいことの他、金銭感覚のズレ、宗教観のズレ、子供の教育方針のズレ、結婚前と結婚後のギャップなど、多岐に渡ります。
そして、性格の不一致を理由に離婚できるかどうかということですが、まず、ご相談者様と旦那様が話し合いによって、離婚するという結論に達すれば、離婚することができます。
離婚する理由は、何かということは考える必要はありません。
話し合いがまとまらない場合は、裁判所において、離婚調停を試みることもできます。
離婚調停でも、どんな理由で離婚するにしても、ご相談者様と旦那様が離婚することに合意できれば、離婚することができます。
離婚調停でも、離婚に至らなかった場合は、裁判離婚を検討することになります。
しかし、裁判離婚、つまり、離婚の訴えを提起するには、5つの離婚原因(法定離婚事由)のいずれかがなければなりません。
性格の不一致を理由とする場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するほどのものなのかがポイントです。
しかし、これを主張立証することは大変難しいことで、裁判所も容易には離婚を認める判決を下しません。
ですから、ご相談者の場合は、旦那様との協議か、離婚調停により、離婚を試みるというのが現実的な選択となるでしょう。
早い段階から弁護士にご相談いただくことが、離婚への近道になります。
大阪での離婚原因(法定離婚事由)に関するご相談は川原総合法律事務所にご相談ください
離婚原因(法定離婚事由)に該当することは、証拠に基づいて適切に主張する必要があります。
必要な証拠や主張すべきこと、解決方法はひとりひとり異なります。
離婚に関する問題は、一生において何度も経験することではありませんから、ご自身の経験が蓄積されて対応力が上がるものでもありません。
離婚をめぐる複雑な問題を個人で解決しようと試みると、却って、離婚から遠ざかり、余計な時間と費用を費やすことになりかねません。
大阪の川原総合法律事務所の弁護士には、多くの離婚問題を取り扱った経験と、裁判実務の知識と実績があります。
離婚原因(法定離婚事由)に該当するかどうかや、適切な証拠集め、主張方法については、大阪の川原総合法律事務所へご相談ください。