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シングルマザーになる前に知るべきこと

シングルマザーの貧困が深刻な社会問題となっています。
厚生労働省が2016年に行った調査では、日本のひとり親世帯数は約142万世帯。
そのうち9割近くのう約123万2000世帯が母子家庭とされています。
母子家庭の8割程度が仕事についていますが、そのうちの半数近くが派遣やパート・アルバイトなどの非正規雇用であり、全世帯の平均年収に比べ6割程度の年収しかもらえていないのが実情です。
そのため、母子家庭では周りの家庭に比べて生活に格差が出る「相対的貧困」に陥るケースが多く、シングルマザーの貧困が切実な問題となっています。
今回は、離婚後に貧困に陥らないための対処法について解説します。
 

離婚でもらえるお金・財産

離婚後の生活を支えるのはお金得有ることに間違いはありませんので、離婚に際して、どのような種類のお金や財産をどの程度もらえるのかをしっかり知っておく必要があります。
 

(1)財産分与

婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた共有の財産を分けることを言います。
夫名義の財産でも、結婚後に築いた財産であれば、名義を問わず財産分与の対象となります。
例えば自宅の所有権名義人が夫になっている場合でも、結婚後に取得したものであれば、夫婦共有の財産となります。
一方、結婚前に、それぞれが蓄えていた財産や、結婚に際して実家からもらってきた財産、結婚後であっても自分の親などから相続によって取得した財産等については、夫婦の共有財産とは言えず、財産分与の対象にはなりません。
財産分与の割合は、通常、半分ずつと考えられています。
 

(2)慰謝料

離婚に至った原因が夫婦の一方の不倫や暴力等である場合は、離婚の請求とともに、自分の受けた精神的苦痛に対する慰謝料を請求することができます。
 

(3)婚姻費用

離婚前に別居していた期間がある場合は、婚姻費用の請求もすることができます。
夫婦には扶助義務と言って、相手を経済的に養い補助する義務があり、別居期間中であっても例外ではありませんので、もし、別居期間中に生活費を受け取っていなかった場合には、未払い分の生活費も忘れずに請求しましょう。
 

(4)養育費

夫婦が離婚しても、子どもにとって親であることに変わりはありません。
離婚をしても、未成熟な子を扶養する義務は残るのです。
養育費とは、未成熟な子が社会的な自立をするまでに必要とされる経費のことで、衣食住の費用や教育費、医療費、娯楽費などが含まれ、一般的に離婚ないしは別居後からスタートし、18歳に達したとき、あるいは大学卒業の月まで、継続して支払うことになります。
 

養育費について

シングルマザーの約6割が離婚に際して養育費の取り決めをしていないと言われています。
養育費は子どもを育てるための大切な資金です。
離婚に際しては必ず養育費の取り決めをするようにしましょう。
 

(1)養育費の相場は?

協議離婚では、夫婦間の話しあいによって決めます。
夫婦双方の収入や財産、過去子どもにかかった費用の実績などを考慮して決定ます。
夫婦間の話し合いでは合意が得られない場合は、家庭裁判所に調停(養育費請求調停)を申し立てて、家庭裁判所に決めてもらうことになります。
この調停は、離婚後に子を引き取り一緒に生活する親(親権者ないしは監護者)が申立人、他方の親が相手方となります。
養育費請求調停では、養育費がどのくらいかかっているのか、申立人及び相手方の収入がどのくらいあるかなど一切の事情について、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて資料等を提出してもらうなどして事情をよく把握した上で、解決案の提示や、解決のために必要な助言をし、双方で養育費の支払いについて合意を目指し話合いが進められます。
このとき、目安とされるのが「養育費算定表」です。
養育費算定表では、子どもの数と、子どもの年齢、夫婦それぞれの年収と、自営か給与所得者の別によって養育費の額が違ってきます。
例えば、夫(サラリーマン)年収400万円、妻(無職)、子ども1人(10歳)の場合、月額4〜6万円が養育費の相場となります。
なお、話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され、裁判官が、一切の事情を考慮して、審判をすることになります。
 

(2)養育費の取り決めをした場合

夫婦間の話し合いで養育費の取り決めをした場合は、必ず取り決め内容を書面で残すようにしましょう。
書面には、①養育費として支払われる金銭の額、②支払期限、③支払方法などを記載しておきます。
養育費の不払いが懸念される場合は、必ず公正証書で作成するようにしましょう。
 

(3)取り決めをした養育費を支払ってこない場合の対処法

養育費の取り決めをしても、離婚後しばらくすると支払いを怠る親が少なからずいらっしゃいます。
この場合、調停や審判によって養育費の取り決めをした場合は、その調停調書や審判書に基づいて、相手方の給料を差し押さえるなど強制執行が可能です。
また、話し合いにより養育費の取り決めをした場合であっても、公正証書を作成し、「支払いを怠った場合は強制執行されてもやむをえない」といった強制執行認諾文言を入れておけば、裁判をせずに、強制執行が可能となります。
一方、公正証書以外の書面で取り決め内容をまとめた場合は、裁判を起こして、勝訴判決を得れば、強制執行をすることができます。
なお、強制執行では、養育費ついては、支払いが遅れている分だけでなく、残りの養育費についても全額、強制執行ができるとされています。
例えば、平成31年4月から長男が大学を卒業する令和20年3月まで毎月末日に5万円ずつを養育費として支払う旨の合意がある場合に、相手が令和1年8月末日の支払いを怠ったときは、令和1年8月分だけでなく、令和20年3月分までの養育費に相当する額を強制執行で請求することができるのです。
ただし、令和1年9月以降の分については、支払期日が到来しなければ、取り立てをすることはできません。
つまり、1度強制執行をしておけば、支払いが怠るたびに強制執行を申し立てることなく、以降は、毎月強制的に取り立てをすることができるということです。
 

(4)一度取り決めた養育費の増減を請求することは可能?

一度取り決めをした養育費であってもその後に事情の変更があった場合には養育費の額の変更を求める調停や審判を申し立てることができるとされています。
では、どのような事情があれば、養育費の増減が認められるのでしょうか。
 

①増額を請求する場合
  • 子どもの進学などによる教育費の増加
  • 子と一緒に暮らす親の病気やケガなどによる医療費の増加と収入の減少
  • 物価の急上昇

 
等が主な事情となります。
もっとも、支払う側に増加分を支払う余力がなければ、養育費の増額は認められません。
 

②減額を請求する場合
  • 養育費を支払う側の収入の減少(失業やリストラ、長期入院など)
  • 養育費を受け取る側の収入の増加(再婚など)など

 
養育費の増減については、話し合いによって解決できるのが望ましいですが、話し合いによっても解決できない場合は、調停を申し立てることになります。
 

シングルマザーが受けられる支援・制度について知っておこう

(1)児童扶養手当

父母の離婚や父または母の死亡等により一人親となった児童を対象に支給される制度です。
一般的には「母子手当」ともいわれています。
支給される額は、子どもの人数や収入によって異なります。
収入によっては支給を受けられなかったり、または一部支給となる場合があります。
支給額は、消費者物価指数の変動等に応じて改定される物価スライド制が適用されているので、年度によって多少の違いが出ます。
平成31年度の支給額は下記のとおりです。
 

①支給額
全部支給 一部支給
児童1人の場合 42910円 42900円から10120円
児童2人目 10000円 10130円~5070円
児童3人目 6080円 6070円~3040円

 

②所得制限額
扶養親族などの人数 全額支給の所得制限限度額 一部支給の所得制限限度額 孤児などの養育者
配偶者・扶養義務者所得額
1人 87万円未満 230万円未満 274万円未満
2人 125万円未満 268万円未満 312万円未満
3人 163万円未満 306万円未満 350万円未満
4人 201万円未満 344万円未満 388万円未満
5人 239万円未満 382万円未満 426万円未満

 
例えば、母と子ども1人の家庭の場合で、母親の所得が87万円未満であれば、児童扶養手当を月額42910円全額、受け取ることができます。
これに対し、母親の所得が230万円以上であれば、児童扶養手当を受け取ることはできません。
母親の所得が87万円以上230万円未満の場合は、児童扶養手当は一部支給となります。
一部支給額は、42910円-(申請者の所得ー全額支給所得制限限度額×0.0229231)で計算されます。
例えば、母親の所得が120万円の場合の支給額は
 

42910円-(120万円 – 87万円 ×0.0229231 )=35345円

 
になります。
なお、所得は、年間収入金額-必要経費(給与所得控除額等)+養育費-8万円(社会保険料相当額)-諸控除 という数式によって算出されます。
 

③支給時期

奇数月に年6回、各2か月分が支給されます。

(2)児童手当

児童扶養手当と混同されがちな児童手当ですが、児童扶養手当が父母の離婚や父または母の死亡等により一人親となった児童を対象に支給される制度であるのに対し、児童手当は中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方を対象に支給される制度です。
シングルマザーの方は、児童手当と児童扶養手当の両方の支給を受けることができます。
 

①支給額
3歳未満 月額1万5千円
3歳以上小学校卒業まで 第1子、第2子:月額1万円 第3子以降:月額1万5千円
中学生 月額1万円

 
例えば、子ども3人の場合(2歳、5歳、13歳)の支給額は1万5千円+1万円+1万円=3万5千円となります。
5歳、7歳、13歳の子ども3人の場合は、1万円+1万円+1万円=3万円となります。
 

②支給時期

年3回、毎年6月(2月〜5月分)、10月(6月〜9月分)、2月(10月〜1月分)に4か月分がまとめて支払われます。
なお、児童手当を受給する場合は、毎年、居住地の市区町村役場へ現況届を提出する必要があります。
また、児童手当の受給に際しても、所得制限がありますので、詳しくは市区町村役場へ問い合わせをしてください。
 

(3)医療費助成制度

母子家庭などの一人親世帯を対象に18歳(18歳に達した日以後の最初の3月31日)までの児童およびその児童を監護する父、母または養育している人が、健康保険証を使って病院などにかかったときの費用の一部を公費で助成する制度です。
助成内容は市区町村によって異なりますので、詳細については居住地の役場へお問い合わせください。
 

(4)母子家庭・父子家庭の住宅手当など

居住地の地方自治体によっては、ひとり親世帯を対象とした住宅手当や家賃補助制度が受けられる場合があります。
 

まとめ

離婚後にシングルマザーとなられる場合、生活に困窮しないためにも、離婚に際して、もらえるお金はしっかりもらい、養育費の支払いについてきちんと取り決めをしておく必要があります。
当事務所はシングルマザーとなられる方を全力でサポートし、離婚後の生活の安定を確保するための助言をさせていただいております。
離婚に関するお悩み事がございましたら、是非一度、当事務所へご相談ください。

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